晴明が、今宮村(現在の若宮町、今は
利根川には面してはいない。
昔は川幅がもう少し広かったのであろう)の船着場に着く頃には、
風が強くなっていた。
晴明は、「ひょっとして、舟は出られないかも」と想像はしていたが。
案の定、船着場では、時化(しけ)の為、舟は出ていなかった。
(もっとも、ドラマの
シナリオライターとしても、晴明に、
県外に逃げてもらっては困るのである。
銚子の風光明媚な場所等に逃げてもらわないと、ドラマの進行上、
都合が悪いのである。)
(女性から追われ、男が、
川に架かる船着場から逃げるパターンは、「
紀州の
娘道成寺」
にも共通している。
晴明の場合は、
利根川に架かる船着場から、逃げようとする。
安珍の場合は、
日高川に架かる船着場から、逃げようとする。
しかし最終的に、大蛇になった
清姫に、
安珍は、
釣り鐘もろとも焼き殺されてしまう。
一方、晴明の場合には、さすがに殺すわけにはいかないので、晴明を匿った男を、龍魚になった延命姫が呪い殺す、という展開になる。)
想定の範囲内のことではあったが、しばし考え込んでいた晴明は、
渡船客と思われる人々のつぶやきから、延命姫らしき女が、
あとを追いかけていることを知る。
此所で、ぐずぐずはしていられないと悟った晴明は、垣根村からは反対方向の、東の方に駆け足で逃げる。
そして、荒野村、新生村等を駆け抜け、田場にある「
和田山不動尊」に駆け込む。
晴明は、
不動明王に帰依していたからなのか、「
地球の歩き方・
銚子編」平安版を所持していたから、なのかは定かではない。)
しかし、晴明は、
和田山不動尊には一夜だけ泊まって、
また逃げることになる。
次の逃亡先は、小谷田(親田)の
明王山
真福寺である。
(この逃亡経路も解せない。
和田山不動尊からは反対方向のV字ターンである。晴明は、
やがてその近くの海で自殺の偽装工作をすることになるのだが。
外洋を穢しては、ドラマの、
地元での評判を落とすことになりかねない、
と懸念した
シナリオライターが、
内浦が事件の舞台になるように設定したのかもしれない。
あくまでも、地元優先の2時間ドラマにして、地元民から、多くの「いいね」の高評価を貰わなければならない。
その
シナリオライターの思惑を察したかのように、
晴明は逃走経路を小谷田(親田)の方角に決める。)
「まほらに吹く風にのって」より