隠された<銚子の安倍晴明 >

隠された<社会_政治の裏側>・霊的な事柄を考える

基本的には、勉強のモチベーションの向上の為に、このブログを利用しています。 _ 数年前から、国際社会は現代型の”情報戦を主体”にした戦争状態にあります。 _ 今の時代は、新しい地球社会に向けての過渡期にある、と言えます。 _ ところで、西洋占星術的には、情報や霊性等が風のように流れ入る「水瓶座・風の時代」に移行していることが、2020年末からは顕著に表れているそうです。

平安期の2時間ドラマ「銚子娘道成寺」本編(その3)

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海上郡誌には、「親田手毬桜」と題して、真福寺の桜について、こう記載されているそうです。
豊岡村真福寺境内にあり。一株の桜樹、枝葉漫衍して数十坪・・・、遠く望むときは恰も手毬のごとし。花期の候には観客四方より群集し、段賑を極む。」
 
檀家総代の人によると。
寺には、郡内一の大きな撞き鐘があったが大正年間に処分してしまったことを、残念がっていたそうです。
 
晴明が真福寺にある頃、一方の延命姫は、乳母の奨めもあり、常世田薬師(親田町の隣町にある)に参籠する。
参籠の日程も終わる頃、参拝客の口から、晴明が近くの真福寺に居ることを、知る。
ここから、またしても延命姫の追跡が始まる。
(男が逃げ、女が追いかけるという、ここら辺のストーリー展開・逃げる途中の描写は、「紀州娘道成寺」によく似ている。)
 
一足先に、真福寺から逃げた晴明は、飯岡・上永井村(かみなげぇ、と訛る)の方向へ向かう。
この辺り、鎌倉初期の時代までは佐貫城(城主・片岡常春)というお城があったが、潮に侵食され、海中に没してしまい、今はその存在は確認出来ない。
その昔、常春の家臣が砦を築いたという敷地跡に建つ、大きな邸に、晴明は身を潜めることになる。
その邸の主人が、向後主水(乳母・かよの兄)である。
 
主水は計算高い男だ。この場は、晴明に恩を売っておいた方がよいくらいの判断をしたのであろう。
もし延命姫に家捜しでもされて、晴明が見つけられてはマズイ、と考えた主水は、晴明を奥の間にあった大きな仏壇の中に隠し、外から錠をかける。
(紀州道成寺における安珍は、修理の為、降ろしてあった撞き鐘の中に隠されるが、暗いのは我慢出来ても、息は出来ないのは我慢出来なかった筈だ。)
 
晴明の後ろ姿を遠くから発見した延命姫は、主水の邸の玄関先で、晴明の所在を問う。
しばらく、玄関先で押し問答を繰り返していた延命姫は、人間関係を考慮して、家捜しすることは諦めて、晴明を探して再び邸の外へ出る。
 
その後、主水は自殺の偽装のアドバイスを与えて、晴明を逃がすのだが・・。
これらのことが災いして、後に、主水は延命姫に呪い殺される。
 
「ゆっくら坂」「帯の坂」「帯の台」「腰掛け石」「たんば坂」「ツガタ坂」などの地名などは、このときの延命姫の追跡劇に由来する。
 
さて、上永井・通漣洞付近の海岸では、通称「釣りの新兵衛」と呼ばれている釣り人が、釣りをしていた。
釣りをしながらフト見ると、近くの崖の上で、男が着物を脱いで、その脱いだ着物の上に石を置いて、風で飛ばされないようにして、去っていった。
「おかしなことをしているなぁ」と見ているとそのうち、女がやって来て、やや思案深げにしていたが、やがて海に飛び込んでしまった。
新兵衛が吃驚して見ていると、女は海中から頭を出して、抜き手を切って沖合いの方に泳いでいく。
(「抜き手」とは、クロール泳法のように、水中で水をかき、水中から手を出して空中を切って泳ぐ動作。
「銚子娘道成寺」の著者、田中幸次郎氏は、「姫のような高い身分の人が、抜き手を切って男を追いかける、というシーンは「紀州娘道成寺」の清姫にも共通のものである、としてその関連性を実感している。(「紀州娘道成寺」では、舟で逃げる安珍を追って、清姫は抜き手を切って泳ぐのである。))
 
親田の明王真福寺の略縁記には「・・延命姫、海中に没してその怨霊、竜魚となる・・」としてある。
新兵衛の眼にはそう映ったのであろう。この略縁記は、新兵衛の目撃談を元にしているようである。
 
 

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ゆっくら坂 「銚子娘道成寺」より

 

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